こんにちは、ぽんずです
今回は、鳥さんのことで悩みがあるなら、「行動学」がいいよ、とか、行動学で解決できるよ、とか、鳥に限らず動物界隈全体として、「行動学」という言葉がよく聞かれるようになったかなー、と思います。
鳥さんと暮らす上で知っているとぐっと暮らしやすくなるし、鳥さんともっと仲良くなりたい人も是非行動学について知ってください(n*´ω`*n)
そこで、今回はそんな「行動学」について、私がわかる範囲で解説していこうと思いまーす!
「行動学」って、なんだろう?
まず、ここで言う行動学とは、正式には「応用行動分析学」といいます。心理学の中の一つで、読んで字のごとく、「行動を分析する科学」と「行動分析学入門」の本にありました
犬やイルカのトレーニングにも用いられたりしますし、最近では動物園の動物たちが快適に暮らせるように、行動学の考え方が広まっているようです
さて、行動を分析するとはどういうことか。それがどうして鳥さんに関係あるのか。いろいろつながらないと思うので1つずつ説明していきますね。
今回は鳥さんに関係あるポイントだけを、わかりやすく簡単に解説していきます
まず、「応用行動分析学」って名前だけ聞くと、私たちの生活に全く関係ないものと思われると思います。ですが、実は私たちが自然にやってることなんです
行動分析学は、行動の問題を解決する(行動分析学入門より)

たとえば、あなたが仕事をしていて、ミスをしたとします
そのミスをどうしたら次しないかな、と考えると思います。
その時に、「前回はこれでミスしたから、次はこうしてみたらどうだろう」ってやり方を変えると思うんですね。
それって、分解すると
「行動を分析して」「条件や方法を変更することで」「問題を解決する」
となります
もっといろんな理論がありますが、行動分析学の基本はこんな感じです
意外とシンプルですよね
これを鳥さんに当てはめます。
たとえば。
朝、餌入れを設置しようとケージに手を入れると噛まれる、とします
ケージに手を入れる→鳥さんがくる→手を噛まれる
「ケージに手を入れたら」「鳥さんがケージにいる」「手を噛まれた」
鳥さんがケージにいる時に手を入れるから、ここは私のナワバリ!といわんばかりに噛まれます。
では、「噛まれない」結果にするために、「鳥さんがケージにいない」にできればどうでしょうか
「ケージに手を入れる」→「鳥さんがケージにいない」、結果「手を噛まれない」
鳥さんがケージにいなくするためには、
・キャリーに入っててもらう
・放鳥してる隙、ケージの外でおやつを食べてる間に設置する
など、まず鳥さんがケージにいない環境を作れば安心して設置できます
条件や、やり方を変えるだけでなく、
・ケージの配置を変える(それにより鳥さんの動きも変化するはず)
・(餌入れをセットしやすいように)ケージのレイアウトを変える
など、鳥さんの周りの環境を変えてみることでも鳥さんの動きを変化させることができます
(あくまで例なので、これで解決する場合もあればしない場合もあるでしょうが、あくまで一例です)
これがどういうことかというと、「鳥さんと人との”困った”を解決できる」わけです
環境を変える、または人間の行動を変える→問題が解決する
問題解決するために動物の行動を観察して、動物の行動理由(目的)を知り、きっかけを変える
この場合の鳥さんの行動理由は「自分がいるところ(ケージ)に手をいれて欲しくない」なので、「鳥さんがいるところに手を入れても噛まれない」にするには
●環境を変える→餌入れの置き場変更やケージの場所変更、ケージのレイアウト変更、鳥さんがケージにいない状態をつくる など
●アプローチを変える→手の角度を変える、手を出すスピードを変える、手を出す場所を変える、手を出す位置を変える
…結果、「鳥さんに手を噛まれずに済む」「鳥さんは嫌な思いをしなくて済む」になります
「応用行動分析学」のいいところは、人や動物に対して押しつけがましくなく、行動のみを分析し、条件や方法を変更することで問題を改善できる点です
何か問題があると、人は自分や相手の「心」に原因を求めてしまうけれど、行動分析学というのは「人および動物の行動を「行動随伴性」という独自の概念によって明らかにするもの(行動分析学入門より)
なので感情で考えるのではなく「行動」で考える。そのため相手に押しつけがましくなく、言葉が通じなくても適用でき、行動を変えることができるわけです
鳥さんに「罰」を与えるのは有効なのか?

鳥さんが噛んだらケージに戻すとか、言うことを聞かないから睨むようにするといいとか、叱った方がいいとか、そういうあれこれについて聞いたこともある方も多いと思います
それって果たして有効なんでしょうか。

実は私も以前やってました。噛まれて痛くて怒ったり、なかなかケージに戻らないから無理やり戻したり。
結果として何が起こったかというと。
もっとひどくなりました
もっと噛むし怒るし攻撃的になるし。いいこと一つもなかったです。もしかしたら経験ある方もいるかもしれませんね
「罰」を与えると、どうなる?
鳥さんに罰を与えたことでその行動をしなくなり、効いたように見えるかもしれません
しかしそれは一時的だったり、反対にその行動を増やしてしまうことにもつながることもあります
そもそも、「罰」というのは人間が考えた「鳥さんにとって嫌なこと」なわけですが。
人にとって罰と思うような嫌なことが鳥さんにとっても嫌と感じるとは限りません
たとえば、鳥さんが噛んできたときの罰として「噛んだら息を吹きかける」とします。
①息を吹きかけられるのが楽しい!って鳥さんが思った場合。もっとかけて欲しいからもっと噛むようになります
②鳥さんが息をふきかけらえるのが嫌だな、と感じた場合。嫌悪感から一時的にその行動をやめるでしょう。しかしその嫌なことをする飼い主さんのことは嫌いになります。結果信頼崩壊につながります
信頼関係が崩れるということは人に対して怯えたり攻撃的になります
結果、どちらにせよ鳥さんにして欲しくない行動は減るどころか増えることになります。
それによって人側はもっと怒り、「この鳥キライ!イヤ!」となっていくと思うんです。
もしかしたら「この鳥をコントロールするためにもっと効く罰はないか」と悪い方向に思考が行ってしまうことも考えられます
それって負のスパイラルですよね
最終的には手放すしかないとなってしまうかも。。。。
鳥さんがストレスを感じると何かしらの行動に現れると思っています
うちの鳥さんは攻撃的になることで現れたけれど、大声で鳴く子もいれば他の問題行動に出てくる子もいると思います。
まずはストレスを与えないようにする。それには罰を与えるという行為は望ましくない
罰というのはいい方向に作用しないということがわかって頂けたでしょうか
体罰はもっとダメ
体罰はもっとダメです
体罰を与えたことで、鳥さんが一時的に大人しくなり「効いてる!」って思うかもしれません。しかし鳥さんはその苦痛から逃れるために一時的に大人しくなったにすぎません
それが続くと徐々に「無気力」になっていきます。
自分がその苦痛から逃れるために行動をしても変化がない、どころか体罰を受ける。
すると人を嫌いになる、恐怖しかなくなる。
そして何をしても無駄なのだと思うと、人も鳥さんも同様ですが無気力(学習性無気力)になるそうです。相当な絶望感を感じると思います
私はこの話を最初に聞いた時に非常にショッキングで、そんな思いを自分の愛鳥にさせるまいと強く思ったものでした
「罰」を与えずに良好な関係を
鳥さんに罰を与えるのではなく、「人側が行動や環境を見直して変えてみる」「鳥さんに嫌なことをせずにこちらのして欲しいことを伝える」方が、お互いに幸せになれるし関係も良好になってwin-winの関係になれます
私はTwitterの飼育アカウントの方でいろんな飼い主さんを見てきて、自分と同じように鳥さんの問題行動に悩む人がいればお力になろうと思っていました
しかし。困ることなく鳥さんと良好な関係を築いてる飼い主さんが多かったです。
実のところ不思議なものを見る目でいました(笑)
それってなぜか、どういう理屈かを解説しますと。
「鳥さんに嫌なことをしない」んですよ。
「鳥さんに嫌なことをしない」→「嫌なことがないから攻撃的になったりする必要がない」→「鳥さんも人に嫌なことをしない」→「関係が良好になる」→「いいことしかない」

実のところ、もちろん鳥さんとの関係で困っている飼い主さんもいたにはいたんですけど。初めて飼う人の方が不思議なことに「困ってます」という方は少なかったです
困ってますという飼い主さんにも、ボディサインをよく見て、解決法を試してみて、とお伝えしたらすぐ実践してくれて、関係改善が早かった印象でした
は?って思った人もいるかもしれませんが、まじです。しかもそっちの方が早く悩みが解決するんですよ
鳥さんと良好な関係を築くための方法を、次の項目で解説していきたいと思います
「ポジティブレインフォースメント(日本語で 正の強化)」ってなんですか?

新しい言葉が出てきました。これも「応用行動分析学」の一つです
「行動の直後の状況の変化によって行動の回数が増えることを、専門用語では「強化」という。
強化とは、文字通り、行動が強くなること、つまり、行動が繰り返し起こり、行動の回数が増えていくことを意味する
集英社新書 行動分析学入門 P46 より引用
正の強化というのは、「自分に望ましい結果が起きた時、行動の頻度が増える」ことを指します
よく「子どもは褒めて伸ばす」とかそういう言葉が聞かれるようになってきたと思いますが、動物も「褒めて伸ばす」のが有効と言われています
人も鳥さんも、行動の直後に「いいこと、嬉しいこと」があれば「またそれをしたいな」と思いますよね。
同じ行動をする回数が増えたら、それは「強化」されていると言えるわけです
先にも書きましたが望ましくない行動をしたときに罰を与える方法は、鳥さんにいい影響を与えません。一時はよかったとしても、むしろ逆効果になってしまったりその後に悪影響です
反対に望ましい行動をしたときに褒めたりご褒美(いいこと)をあげた方が、よりその行動が増えていきます
こちらが望ましいと思うこと(手に乗ってくれた、静かでいてくれた、おもちゃで遊べた、お留守番できた、などなど。些細なことでもなんでもいいです)を鳥さんがしてくれたら、たくさん褒めましょう。
褒めることで注目をしてもらえて、鳥さんもとても嬉しいと思います。褒めてもらうためにもっといろんなことをしようと、きっと思ってもらえるはずです
強化するって、どんないいことがありますか
まず、自信がつきます。これは人も鳥さんも同じ。
たとえば、手に乗ることを強化するとします。手が怖くて乗れない鳥さんだったとして、手に近づくとおやつがもらえるとします。
おやつ、というのはわかりやすい「メリット、いいこと」です。もちろんおやつじゃなくて褒めてもらえる、カキカキしてもらえる等でもいいです。
とにかくその鳥さんにとって「いいこと」が起きるのが重要です(行動の直後にいいことがないとその行動は強化されません)
いいことがあった→またやってみたいと思う→手に近づく→おやつがもらえた→いいことがあった→また近づこう!→おやつ→…
とやっていくと、どんどん手に近づく時間が短くなると思うんです
ちょうど上の写真のような感じですね。フィンチさんたち可愛かったなー
これは自信がついてきてる状態です。自信がついてくると、だんだん大胆になっていきます。
最初は手に近づくだけだったのに、徐々に手に乗っておやつを食べれるようになっていきます。
次は手にいる時間が伸びます。
すると徐々に「人のそばにいるといいことがある!」と思うようになり、飼い主さんの褒め言葉で手に乗ってくれるようになります
この時、鳥さんにとって嫌なこと、怖いことがあると行動に対して大きなマイナスになります。いきなり手が動くとか、掴もうとするとか。
反対に嫌なことが起きなければ、鳥さんは安心してどんどん自信をつけてこちらが望む行動を引き出すことができます。
嫌なことがないので、手が好きになってくれるし、ひいては人のことも好きになってくれます。よきスパイラルに入るわけですね
するとどんどんいいことが起きます。どんどん鳥さんと仲良くなってどんどん楽しくなっていきますよ
下の動画はコンゴウインコが人なれトレーニングをしてる動画です。どんどん自信がついていってる様子、わかりますでしょうか。
自分で何かを「できた」というのはこんなにも鳥さんを変えてくれるのだと感動しました
動画の最初、手を近づけてますが、鳥さんが後ずさりしてるのわかりますか?あれは怖い、嫌、のサインです。最初の動きはよくないお手本ですね。
ここで更に手を出すと、鳥さんは人の手を噛むことを学習してしまいます(嫌なものを遠ざけるのに噛むことが良い、と思ってしまうのです)
そのあとは鳥さんの動きをよく見て、「鳥さん自身」から近づいて来てくれるのを待っています。自発的な行動を引き出しているのです。
自発的な行動→自信につながります。
そうして徐々に自信がついてきている様子がわかりますでしょうか?
石綿美香先生がこの動画の日本語訳をしてくれていますので、合わせて見るといろいろわかりやすいと思います(そちらにも動画のリンクがあります)→リンクはこちら
望ましくない行動にはノーリアクション、果たして本当にいいのか
以前は望ましくない行動にはノーリアクションと言われていましたが、ノーリアクションがいい時とよくない時とがあります
まずはノーリアクションがよくない時。よく言われる「呼び鳴きにはノーリアクション」
鳥さんが、ピッと鳴く事で人を呼んでみたら来てくれたことがある(呼ぶ→来る が強化されている状態)で、人側が「呼ぶ」行動をなくしたいと思って、鳥さんに呼ばれてもノーリアクションをするようになったらどうでしょうか?
「え?今まで来てくれたじゃん?」って思いますよね?
では次に何をするかと言うと、「大声で呼ぶ」と思うんです。
それでも「呼ぶ」行動をなくしたいと思ってノーリアクションでいたら。
相手はもっともっと大きな声で呼ぶかもしれない、そして次第に「この行動は無駄なんだ」と感じます。
呼ばれてた側は「やっと諦めた」と思うかもしれませんが、相手からしたら無気力感や絶望感を感じているかもしれません
これって本当にいい方法なのでしょうか?
ノーリアクションよりも、「これならOK」をこちらから提案した方が効果的
それなら
・呼ばれたら返事する
・呼ばなくていい状況を作るようにする(離れていても姿が見えるようにケージの位置を変える、など)
・この音量ならいいよというのを教える(特定の音量の時のみ反応する)
・呼ぶ時の共通の合図を作る(ベルを鳴らす、特定の鳴き声やおしゃべり、ケージの金網をバインと弾いたら、など)
という風に「別の方法を提案する」方がずっと建設的だし人にも鳥さんにも優しいと思いませんか
できるならば「こっちならいいよ」という方法を提案できるといいですよね。
今は構えないよ、という時には好きなおもちゃを渡してそれで遊んでいてもらうとか、構えない代わりにおやつを食べていてもらうとか。
鳥さんが呼び鳴きをするのは姿が見えなくなって不安だからなので、返事をしないのはそもそもが逆効果なんです。
鳥さんは聴覚よりも視覚に重点を置いているようで、見えなくなると急に不安になってしまうみたいなんですよね
なので返事をしてあげることは大事です。大きな声で鳴かれると困るという場合には、「このくらいの音量ならOKだよ」を人側から鳥さんに教えると、お互いに快適に過ごすことができますね
ノーリアクションのが良い時って?
ノーリアクションを使うといい場面としてよく聞かれるのが、「噛まれたらノーリアクション」でしょうか
こちらを例として考えていきます
①噛まれた時に「痛い!」等反応する→鳥さんが面白がってしまう(面白い→嬉しい、楽しい は強化子になってしまうかも)
強化子、というのはその行動を強化する「いいこと」って意味です。
この場合は「噛んだら面白いことが起きた!」の「面白いこと」が強化子にあたります。
鳥さんが噛んだ時に反応してしまうと、それを面白いと思ってしまい「またやろう」と思ってしまう、強化されてしまう事態をなくすために、ノーリアクションがいいと言われているわけです。
(強化されなければリアクションしても問題ないってことになりますが、それは十分に信頼関係が築けてから追々考るのがいいと思います)
しかし鳥さんが噛まないようにするためにはノーリアクションだけでは不十分です。
鳥さんが噛む「理由、または状況」が解決していないからです
強化したくないことの場合には、強化子を与えないようにノーリアクションが有効ですが、「強化されない」だけでその行動がなくなるわけではないです
「この方法ならOK」を提案したり、噛まれた状況を分析して同じ状況にならないように環境を見直したり、鳥さんの動きをよく見て、嫌がってたり興奮している時には手を出さないようにすることもセットで行っていきましょう
結果「噛まなくなる」につながります
どんな時にノーリアクションを使いますか?
教えたいことを伝える時にノーリアクションとリアクションをうまく使うことで、効果的に伝えることができます。特に下に紹介している「バードトレーニング」の時には使ったりしますね
しかし、できればノーリアクションをする機会を少なくして、たくさんの成功体験を積ませることが非常に大事です
「バードトレーニング」ってなんですか?
「バードトレーニング」とは、先に書いた「正の強化」を使って、鳥さんとゲームをする遊びのことを指します。
その遊びを通して、鳥さんにこちらが望ましいと思う行動を強化していくこと全般を、「バードトレーニング」という気がします
少し広めの意味合いで言葉の意味を解説しました。
略して「トレーニング」と言われることが多いですが(それでもあまり略せてないけど)、このトレーニングという言葉が指す意味がとても広いです
例えば鳥さんに腕や指にステップアップしてもらいたい、となったら、「トレーニングでステップアップできるようにしよう」と言いますし、ケージに戻ってもらいたいってなったら、「トレーニングでケージに戻れるようにしよう」と言います。
「トレーニング」という言葉は何を指すのか
ではその「トレーニング」って、具体的に何をするのでしょうか
「最終目的に至るまでの段階を細分化し、それを鳥さんに段階を踏んで教えていく。
この時クリッカーを使ったクリッカートレーニングをすることもあるが、クリッカーを使わずに進めていく場合もある」
…といったところでしょうか
ちょっとわかりにくい説明になりました。まず、クリッカーを使わずに進めていくトレーニングとしては、たとえばキャリーケージに慣れて欲しい場合の教え方ですが
…になります
次にクリッカーを使って教えていくトレーニングについては、クリッカーという道具の音とご褒美が結びついているならば、なんにでも応用できます。キャリーに入ってもらうトレーニングもクリッカーを使って教えることは可能です
クリッカーを使って教えるトレーニングとして有名なのは、やはり鳥さんが「芸」のようなものをして遊んでいる光景だと思います。
あれは遊びを通して鳥さんと人側とがコミュニケーションを取るためにやっている部分が大きいです
ほかに鳥さんのボディチェックがストレスを少なく行えるようにしたり(たとえば握手を教えると、足にタッチできる→足の異常をチェックできる)、病院で治療をする際にもストレスが少なく治療できるようにする等の意味合いもあります
どちらの「トレーニング」にしても、「最終目的に至るまでの段階を細分化し、それを鳥さんに段階を踏んで教えていく」ことになります
無理のない範囲から、少しずつ行動を教えていく
例に挙げた、鳥さんが自発的にキャリーに入れるようになるトレーニングも、だいぶ細分化して教えていることがわかると思います
こうして少しずつ鳥さんの成功体験を増やしていき、最終的に望ましいと思う行動につなげていくことが「正の強化」による「トレーニング」になります
この教えていく段階を考え、教えていくのは、飼い主でありトレーナーでもある、飼い主さんの役目になります(汗)なので、、、、実は意外と大変なんですよね(;´∀`)
バードトレーニングは鳥さんの問題行動の解決につながりますか?

バードトレーニングと問題行動の解決が、どうにもつながらないという人も多いと思います。私も最初はわかりませんでした(本当)
実際には問題行動の解決には、
この3つが非常に大事です。
突然ボディサインという言葉が出てきましたが、鳥さんが出している「嫌だよ」というボディランゲージをしっかり読み取って、嫌と言ってる時には手をひっこめる、嫌なことをしないことが大事です
鳥さんが問題行動を起こすのには必ず理由があります。その理由をまず考えてできる限り改善する必要があります
ですが、飼い主さんが良かれと思ってやってることが、反対に鳥さんにとっては嫌なことだった、ということもあります。
それによって問題行動が引き起こされていることもあるのです
たとえば、
・鳥さんが怒っているのにその怒ってる様子をかわいい!といって鳥さんの気持ちを無視してしまう
・カキカキしてあげる、といって身体じゅうなでまわす(鳥さんを体じゅう撫でまわすことは発情につながりますし、あまりいいことではないです)
・鳥さんの前に手を出したら、鳥さんが嫌だよ、というボディサイン(後ずさり、クチバシを開けて威嚇など)を出しているのに無視して手を近づける(→結果噛まれる)
ちょっとしたこと、と思うかもしれませんが、鳥さんにとったら大問題なわけです。
鳥さんの気持ちを汲んで、周りの環境を見直してみる、改善してみるというのは非常に大切です
次に、トレーニングを通してお互いの信頼関係を築くことも大事です。
トレーニングは「正の強化」の理論を使用します。正の強化によって、鳥さんに良い意味で自信がついていきます。
鳥さんに自信がついてくると、それを見てる飼い主さんもすごく楽しくなってくると思います。うちの子天才かな!って思うと思うんです(n*´ω`*n)
お互いに楽しいが増えてくると信頼関係が深まっていき、鳥さんにちょっと嫌なことをすることになったとしても、信頼したままでいてくれたりします
その結果。
鳥さんが嫌と感じる事柄がなくなる→安心を得る→さらに嬉しい事が増える→楽しい!
結果、問題行動がなくなる
…といった感じです(長い)
実際、ターゲットタッチトレーニングで鳥さんとの関係を改善しよう、という記事を書いたら。
鳥さんとターゲットタッチに挑戦して、結果噛みつき改善できました!というお声をちらほらいただいております。
これは上に書いた3つをしっかり飼い主さんが守って、改善してくれたからこの結果につながっているのだと思っています
応用行動分析学を学べる場所はありますか?

鳥用の応用行動分析学の話としては、ALETTAの石綿美香先生が行っているセミナーがあります。そちらに参加することで学習することができますよ
こちらは座学とトレーニングクラスと2つあり、
座学の方では行動学の理論を使った鳥さんとより幸せに暮らしていける方法や、鳥さんと暮らす上でよくある困ったことへの解決法、鳥さんへのトレーニングの教え方などを解説されています
非常にわかりやすく教えてくれるので、初めての方でもわかりやすいです
トレーニングクラスの方は、クリッカーを使ったトレーニングによって、鳥さんといろんなトレーニング(遊び)をしたりしています
トレーニングの理論や教え方を解説したり、どう教えていいかわからないゲーム(輪投げ等)の場合は教え方をアドバイスしてくれたりしています
セミナー開催のお知らせはTwitter他各SNSでされていると思いますので、そちらをチェックしてみてください。
行動学がわかるともっともっと鳥さんと一緒に暮らすのが楽しくなります。是非セミナー受けてみてくださいね
サイトの方にはトレーニングの動画や応用行動分析学の海外の記事の翻訳ページなどもあり、なかなか濃い内容になっていますので是非そちらもチェックしてみるといいですよ
バードトレーナー、という方々の存在
よく私がサイトの記事などで「困ったことがあるならバードトレーナーに相談すべき」と書いていますが、それはどうしてかというと。
バードトレーナーは、こういった「応用行動分析学」の理論を勉強されており、問題のある鳥さんに対して、的確なアプローチ方法を提案できるのです。
トレーナーさんは知識も経験も豊富ですから、困った問題に対していろんなアプローチ方法を提案してもらえると思います。
オススメするのにはほかにも理由はあって、「一人で悩んでも自分だけでは気づかないことがある」のです。
人に相談することで初めて気が付くこともあります。そしてそれが問題解決に非常に重要だったりします
お金はかかりますが自分の飼育環境や接し方を客観的に見てもらうことで、自身や家族と鳥さんとの問題が見えてきて、問題が見えてくればアプローチ方法もわかってきますので解決案が見えてきます
もちろんそれでその問題が解決することもあるし、解決には至らない場合もあるかもしれません。
ですが人に相談することで自分の心も軽くなりますから、一人で抱え込まずにトレーナーさんを是非頼ってみてくださいね
オススメの書籍紹介
本には問題行動の解決のしかたや、鳥さんに対してどういったアプローチ方法によって解決に導いたかの過程についても記載がありますので非常に勉強になります。
二冊とも読まれることをオススメします
応用行動分析学ってなんぞ?が知りたい方には「行動分析学入門」の本がオススメです。
セミナーに出ていてたまに聞くワードの意味がわからなくて、「?」となっていましたが、こちらの本に書いてありました。
あと、今回こちらの記事を書くにあたって参考した一冊です
最期に、トレーニングで使う「強化」について知りたい方はこちらの本がオススメです。強化ってなんだろう、ということが一冊を通して書かれています
鳥さんとトレーニングをする方、トレーニングでやっている「強化」についてもっと知りたいと思ったら是非読んでみるといいです
まとめ
★鳥さんは自分のしたくないことは絶対にしません。なので無理強いなどはできませんしやりません。無理強いするのも鳥さんに罰を与えた時と同じような反応になります(自分の経験談)
理論は分かったけど、具体的にどうやるの?と思われた方。是非先に紹介した本と、セミナーに参加してみてください。こちらを読んだだけでは理解することは難しいです。
具体例をたくさん聞くことで、深く理解ができ鳥さんにもフィードバックすることができますよ
おわりに

大変長くなりましたが、いかがでしたでしょうか。行動学、という言葉の指す意味が少しでもわかってただけたでしょうか
ここに解説したのもごく一部であり、「行動」をとりまく理論はもっと多数あるのですが。
鳥さんのことで主に使うのは正の強化と行動を分析して改善することの2つになります(私が把握しているのがそれっていう…)
私なんぞが解説するのもおこがましいと思ってるんですけど。
しかし行動学ってなんだかよくわからないから私はセミナーは受けない、勉強しないと思っている方を少しでも減らせたらいいなと思って今回解説させていただきました
正の強化を知っているだけで、鳥さんともっと仲良くなれるし、知らずに鳥さんに嫌なことをしていた、なんてことも減るし、鳥さんは自信がついて生き生きしてくるし、どんどん新しいことも怖くなくなっていくし、本当にいいことづくめなんです
それを知らないで鳥さんとの関係を悪化させたりしていたら、非常に勿体ない。
鳥さんと人とが幸せに暮らすために、ちょっとでもいいから正の強化を知って欲しい。
実際に今、私がとてもハッピーだから。
そんなわけで、少しでも行動学に興味を持ってもらえましたら、大変嬉しいです
読んでいただき、ありがとうございました
こちらのサイトでは、ほかにも鳥さんの「困った」の解決法についていろいろ解説しております。
噛みつきや呼び鳴きについても、もっと深く解説した記事がありますのでお悩みの方は是非そちらもどうぞ。鳥さんと楽しむバードトレーニングについて解説もしております


参考文献
・行動分析学入門
・漫画で楽しむ インコと飼い主さんの事件簿: トラブル事例から予防、回避術 満載…等